2月 27, 2010

短期・中期・長期、それぞれのアプローチ

“広告”は、媒体特性やターゲットに関する要素を無視して
出稿しても意味が無い。それだけを聞くと至って初歩的なことすぎて、
え?そんな事もクリアー出来てない広告なんてあるの?」って
思っちゃうかもしれませんね。

現在ではソーシャル・メディア関連で、よく

「これは短期的に結果を出す(求める)ものではなく長期的な視野において、
より戦略的な〜」

なんて言われていますが、それは、そもそも“ブランディング”自体がそういうものですし、
私自身は、マスメディアを使った広告も、本来どちらかというと中・長期的な
ブランド育成に適したものであって、短期で“売る”という結果を得るために使う
というのは、それこそ“どんなものにでも当てはまる”というわけにはいかないんじゃ
ないか?思ってます。

以前、私の所属する会社のアドバイザーでもあった、植田正也氏
〔早稲田大学大学院・アジア太平 洋研究センター
「早稲田大学ビジネススクー ル」講師〕が
「日本語の“広告”という言葉には、海外で言うところの
“Advertising(アドヴァタイジング)”、いわゆる、企業広告などを含む
ブランド育成広告という意味合いのものと、
“Sales Promotion(セールス・プロモーション)”的な意味合いの、
いわゆる、短期間で直接的に売る為の種類の広告とが、両方含まれているため
制作側と発注側において混乱が起きやすい」ということを、おっしゃっており、
また、ご自身の著書(少し古いものになりますが)でも書かれていました。
2002年2月 日新報道刊:2005年の広告会社―ニューヨークから東京へ

でも、日本では、中・長期的な視点に立った、ある意味、

投資的な“広告”や“ブランディング”

といったものは、なかなか 理解されず、ほとんどのものが単なる

”イメージ的なアプローチ”

として片付けられてしまうことが多いように感じています。

でも、“イメージ”っていうのは単なる飾りや装飾ではなく、
それはそれで凄く大切なモノなんですけどね(その件はまた別の機会に)。

そんな中、いわゆる“代理店”は、大量に広告のスペースを売ることにだけ専念して
来たように見えるんですよね。売るためには内容なんか後回しって感じで。
「わざわざ嫌がるもん持って行って説明するのも面倒くさいし、

売れるもんも売れなくなったらやだし」って感じ?まぁ、その結果として、
マスメディアにチラシ的ものばかりが溢れる事になったのかなぁ?とも思うわけです、
効く効かない関係なしにね。

実際のところ、私には本当に効果的なものだと思えるのは、
一部だけのように思えますし。

更に、現在の環境の変化を考えると、即、売りに繋げるためのメッセージを発信する
“短期で結果を出すための広告”は、以前よりも、もっと難しいものになって
来ているんじゃないかな?って思うんですよね。

ターゲットにもよりますが、いまどきの、情報に不自由せずに暮らしている消費者が、
そんな一方的な企業からの発信に対して、それほど素直に反応するわけないって
事なんですがね。

まぁ、その結果、

「じゃあ、マスメディア広告なんか大金かけてうつのあほらしいじゃん?」

って事になり、広告の枠は売れなくなるということになると。現状そのもの?

企業自体にお金が無いっていうのは、もちろん有るかもしれませんが
理屈が極端ですよね?

「マスメディアでは、売るための広告はすべて効果がない」
なんて言ってるわけじゃないんです。ただ、ちゃんと考えるべきだと。
その選択肢をちゃんと持つためにも、中長期的な視野でのブランド育成広告の
重要さについては、もっと理解されるべきだと思うんですよね。


2月 24, 2010

これからは◯◯の時代?!

まぁ、前からの話しですけど、広告に対する否定的な意見や言葉は、よく聞きます。
で、その言葉の後に来るのが、だいたい

「これからは◯◯だ!」

PRだった時も有れば、企業Webサイトだった時も有ればと、まぁ、いろいろなんですが、
その「これからは◯◯だ!」というのがどうか?と言うのは、ひとまずおいといて、
そもそも何で広告がもうダメなのか?何をもってダメだと言っているのか?っていうのが
曖昧なままで、言葉だけがあちこちで聞こえるように思うんですよね。

もちろん、きちんと分析して、かぎりなくフェアに発信している人もいますし、
正しく状況を見つめることができている人もいると思うんですが、普段、私が
直接周囲の人から聞く言葉に限って言うと、ただ何となく余り考えなしに
使っているって感じに聞こえます。

まぁ、元々TVやラジオ、新聞、雑誌などの広告スペースをメディアに代わって
販売することから始まった広告代理店というものを中心に大きくなった、
この業界の成り立ち方を踏まえ

「広告はもう終わった」

という事の意味を考えると、まずは

1. “メディア”自体が力を失った

という意味と、また、

2. そのメデイアの特性上、企業側からの一方的な発信というスタイルを
  とる事になってしまう、その発信の仕方が現代に合わなくなった

ということが最初に思いあたります。

でも、それにしても“誰か”によって、大分意味が変わってきますよね? それこそ
代理店業務をしている会社の営業マンや経営者だったら

「もうマスメディアの広告スペースは以前のようには売れない、おいしい仕事じゃ
なくなったよ」という意味かもしれないですし、出稿者側、つまりお客さんの
立場だったら、「広告は、見る人が変わったのか、いなくなったのか、コストに対して
効果が見合わなくなってきた」 という意味なのかも知れませんしね。

でも、媒体特性や、そこで発信するメッセージ内容を深く検討した上での企画が
出来る前に、「安いから」というだけで、あまり効果的とも思えない
出稿のスペースだけが先に決まっていたり
「せっかく高いお金を出して広告を出すのだから」という思いから?
安全策をとるあまり“今までのやり方”に固執し、その時その時の状況に
十分に対応出来ないままの形で広告を出稿してしまってたりということも
実際に多々見受けられるわけで、
ターゲットに関する要素を無視してメッセージするのであれば、それは、

広告じゃなくても同様に効かない

ですよね。 だって、インターネット広告だろうがソーシャル・ネットワークだろうが、
その特性やターゲットを無視して何かやっても意味が無いし逆効果になる場合だって
あるでしょ?そりゃなんだって同じですよね。

そう言う意味で、一概に“メディア自体が力を失ったのが原因”と言って、
おしまいにしてしまうのも乱暴な気がします。
 更に、時代や環境もどんどん変わる中で、当然マスメディア広告とかも
企業コミュニケーション全体の中での立ち位置は変わって来てると思うんですよね。
ということは、広告だけが従来のスタイル
(全体の中での広告のポジショニングという意味で、ですが)のままでいい、
なんて事はありえない訳です(この話題を次回)。

企業のコミュニケーション活動全体の中で“広告”は、その幅や影響力を
以前より狭めたのは事実かもしれませんが、だからといって、“広告”自体が
「終わった」とか「もう古い」とか、そういう言葉で決めつけてしまうのは、
それこそ広告だけの問題じゃなく、今、私たちが直面している大切な変化を
間違って捉えちゃうことになるんじゃないかなと思う訳ですよね。

単純に、言葉に煽られて、ただ入れ物を流行ものに変えるだけじゃ、
結局、何をやったところで同じじゃない?って思っちゃうわけです。


2月 14, 2010

きっと後から読むと恥ずかしい記念すべき第一回目のPOST

私は世間的には広告代理店と言われる会社、
と言っても、その中でも小さい方の一つで、
クリエイティブ・ディレクターという肩書きで仕事をしています。

クリエイティブ・ディレクターというのは、広告や販促物などの
デザインやコピーによる表現や企画に関する責任者で、
立案や企画から制作までチームを指揮、運営する人間のことです。

とはいっても、私の場合は大手広告会社(代理店)の立派な方々とは、
やっている事も扱う予算も全然違う訳で、同じ肩書きを名乗るのも
気恥ずかしいぐらいですがね。

で、この私たちの“広告業界”なんですが、最近
「ちゃんと自分たちの立ち位置をわかっているのだろうか?」と、
思ってしまうときがあるんですね。

まず“広告”っていうのは基本的に、TV・ラジオ・新聞・雑誌といった、
いわゆる4大マスメディアで出稿されるもの、それとシティボードや交通広告
(あと、ちらしや看板、Web・OnLine広告とかもそうですけど)を指し、
以前は企業コミュニケーション活動の中でも“ちょっと派手で花形っぽい
イメージ”のものだったという印象があります。

ですが現在、この“広告”の置かれている状況も変わって来ていて、
企業のコミュニケーション活動全体からすると、広告の担う領域は以前に比べ
小さくなって来ていると思うんですよね
(一概に広告は影響力を失ったなんて言ってるつもりはありませんけど。
その話しはまたの機会に)。
まぁ、唯一伸びてるのはWeb系でしょうか。

ですが、業界の中の人が“広告業界”と言うとき、未だに以前と同じ“特別感”みたいな
ニュアンスを帯びて?言われているように聞こえるというか、
中には、その他のコミュニケーション分野の各業界に対して、
何か上から目線的なものさえを感じさせられることもあり、
そこに凄い違和感を感じてしまうんですね。

会話の中では「コミュニケーション・デザインがどうの」とか頻繁に出て来るし、
仮に広告だけを取り上げるとしても、現実に、全体を念頭に置いた上で
戦略をたてているからこそ、

その企業のコミュニケーション活動の中で、
正しいポジションに、その“広告”を位置づける

ことができ、効果的なものを生み出せているはずなんですけどね。

もし、本当に“コミュニケーション・デザイン”全般にまで自分たちのサービスを
拡げようというのであれば、その人たちは既に“広告業界”の人じゃないわけですよね。
だし、その中で 「自分は広告の業務を専門としてやっている」 というのなら、
他のコミュニケーション分野の人たちと同じく、一翼を担っているわけじゃないですか。
そこら辺の意識を?自分たち自身でハッキリさせておかない限り、例えば
“広告”に関しても正しい提案って出来なくなっちゃうんじゃない?って思っちゃうん
ですけどね。“総合的な視点”でやってますっていうんならですが。