会社案内を制作してると必ず「実際は会社案内は、あまり使わない。強いて言えば使うのは沿革や概要が必要なときと、あとは仕事の実績を見せたいとき」というような意見を、その会社の社員さんの最低一人からは聞かされます。
理由を聞くと「具体的だから相手も分りやすい(だろう)」という事なんですが、本当にそれで、お客様はその会社を “分って” くれているのでしょうか。
お話を聞いていると「あとは、会社としての実績や、個別の提案書、そしてそれに関連したパンフレットで説明するから」という感じみたいです。 確かにそれで済んでしまう場合も多いでしょうし、その実績が競合他社と差別化された特徴的なものでしたら相手も判断は速いと思います。
確かに改めて思い出してみると私自身もよく知らない企業のホームページなどを見る時、まずは、どんな商品、どんなサービスを提供してきた会社なのか?を足がかりとして、その企業を知る作業を始めていることに思いあたります。実態がそこにあるということを無意識にであっても知っているからですよね。
ですが、そこで特徴的な他社と差別化されたものが見つからなければ、そこまでで調べるのを止めてしまうということもありません。
もちろん、その商品やサービスが箸にも棒にもひっかからないほど酷いものだったとしたら別ですが・・・。
みなさんも、競合と比較検討出来る何かに行き着く間で、それを見つけようとするでしょう。
そしてたいして決定的な差が見つからない場合、結局、価格での比較になってしまったり。
このことからも分る様に、その会社の提供しているもの、つまり商品やサービスで競合と差別化されているというのは一番望ましく人にとって分りやすい状態だとは思います。
ですが実際は、そこではなかなか決定的な差別化がはかれないという事も多いのではないでしょうか。
相手に分ってもらおうとして、出来るだけ具体的なものを見せようとした結果、逆に人々を混乱に陥れてしまうといった状況です。
そもそも “分ってもらう” というのは、どういう状態を指しているのでしょうか。
一つは “信頼とか安心感を持ってもらう” という事ですよね。そして、“自分たちの製品やサービスを選ぶべき理由としての競合との差を知ってもらう" という事ではないでしょうか。その為の情報を提示するという事ですよね。
例を会社案内の話しに戻したいと思いますが、最初に書いたような意見を言われる方に、続けてお聞きすると、
「夢みたいなモヤッとした理念とかビジョンとかがいろいろ書かれてても意味わからないんだよなぁ」
といった話に続いていくことが多かったりします。その通りですよね。
もしあなたの会社が「私たちは◯◯な会社です!」と言っていて、それがモヤッと感じたら、それはきちんと差別化されたものとして作られていないか、具体的にどういう行動になって表れるものなのかまで、まだ落とし込まれてないか、単に表現を失敗してるかではないでしょうか。
つまり、こういったものが “具体的” じゃないから意味が無い。のではなく、 “具体的” で “差別化” されていない、ビジョンだとかプロミスと称されたものが意味がないのだと思うんです。
そしてデザインもメッセージもですが、全てがそれを感じられる様に表現されているべきですよね。
沿革や概要、そして実績などは、たまたま目の前に有る具体的なものというだけで、本当に必要なものは、会社を他社と差別化して分りやすく表現した具体的な “姿” なのではないでしょうか。