6月 24, 2012

デザインのいらないもの


そのデザインに最終的に触れる(見たり、触ったりする)人たちは、実際には、そのデザインについてどんな反応をしているんでしょう?
その視覚情報は、情報の優先順位としては何番目くらいのものなのでしょう?

これらは、それがどのような種類のものに関するデザインかで大きく変わるとされています。

デザイン性が重視されるものであれば、その価値の優先順位も当然高くなります。
ですが反面、見た目などあまり関係なく、それがどんなデザインであろうが何も影響がないと言われるカテゴリーも多々あるということです。

本当でしょうか?

私は賛成ではありません。
先ず一つは、なんとなくイメージだけで、とがったものや洒落たものがデザインされたものとされている様な気がするところです。
何も、とがったものや洒落たものだけがデザイン性が高いものという訳じゃありません。もしかしたらそれはアート性が高いとは言えるのかも知れませんが、デザインの役割はそれだけではないと思っています。

例えば、人がデザインに接したとき、そこにどの様な印象を持って欲しいのか?という部分において、とがった印象や洒落た印象のみならず、それらを含む印象全般に関わるものだと思っています。
そして、また同時に、どの様な反応をして欲しいのか?といった、機能的な部分での役割も担っています。一見デザインされているように見えないものからも、私たちはある印象を受け取り機能的な意図を受け取っているはずです。それらを意図的にコントロールしようというのもデザインの大きな役割ではないでしょうか。

よく、デザインされていない方がいい!というような事が言われるケースがありますが、その根拠となっているであろう元々の見本の “デザインされていないもの” は、本当に、ただデザイナーなんかに頼まず適当に作ったから、その様な効果を得ることが出来たのでしょうか?適当に作ったものがその時効果をだしたのは実はたまたまだったりしてないですか?
それのどのような要素がそのような効果を出したのかを、しっかりと研究して掴み、その効果を再現出来るよう意図され表現される必要があるのではないでしょうか。
でなければ、それは単なる酷いものであり、意図した効果を出すどころかそれ以上に、与えてはいけないイメージを与えてしまう結果を導きかねないと思います。

また、「誰もデザインなんか気にしていない」というのも、落とし穴です。
それはそれに触れると想定している人を馬鹿にしすぎなんじゃないでしょうかね。
私は、視点の違いはあっても、誰もが視覚的な心地よさみたいなものを求めているはずだと思っています。
もしかしたら改めて聞くと「デザインなんて正直気にしていなかった」というような発言は出てくるかも知れません。ですが、それを鵜呑みにするのは危険ではないかと感じます。上記の発言をした同じ方が、本当に気にしていないのだったら出てこないような「正直言ってこの◯◯はあか抜けないイメージですからね」というような発言も同時にするのは結構あることなんです。

デザインが、そのもの自体の売り上げには何の影響もない形のビジネスであったにしても、その企業に対して醸成されたイメージは、めぐりめぐって何かに影響を及ぼしている可能性もあるのではないでしょうか。

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