よく言われた言葉ですが実はずっと嫌いな言葉でした。
「デザインは単なる感性や手先の技術だけじゃなく、その前にそれに触れる人や触れるときの環境、そして何よりも正しく伝わるようにちゃんと考えて作業するべき」って思っていたからです。
ま、そんなの当然の事で “さっさと手を動かせ” の本当の意味は、
「いつまでも頭の中だけで考えていたって、実際に絵にした時にインパクトが無かったり面白くなかったり、ちゃんと着地しないものだったら意味無いし、そんなものは時間の無駄になってしまうから、方向性が定まったらあとは手を動かしながら(作りながら)考えろ」って事なんですけどね。若い頃はなかなかそこまで分らなかったんですね。
でもこの様な意味だったんだって分ってみると、この、手を動かしながら考えるって事の重要性をひしひしと感じずにはおれないんですよね。。
最近は、効率化だとか合理化だとかそんな言葉がもてはやされ始め、「とにかく無駄な事は一切やりたくない」というようなムードは私たちの仕事の周りでも以前より更に大きくなっている様に思います。
もちろんコミニュケーションのミスなどで、本当に無駄な事をしなければならなくなるときも多々有り、それにはこちらも人間ですし正直うんざりする事も有ります。もちろん、そういった事は出来るだけ無くした方が時間的にも金銭的にも無駄が無くなりますし、発注者側にとっても制作者側にとっても良い事であるのは確かです。
しかしその事を拡大解釈してしまっているというか勘違いして認識してしまっているクリエーターも出てきている様に見えるんですよね。
仕上がりの精度を上げていくためのトライアルや模索までも時間やコストを理由に避けようとする人たちが増えてきているように思うんです。
これはあくまでも自分が作業をする場合に限っての事で、誰か第三者にデザインやコピーライティングを頼む場合はもちろんそんなこと言えません。特にコスト的に厳しくなってきている今、「それとは別の話で、もっと案を作ってくれ」とは言えませんからね。
でもそれと同じ理由で自分の労力を惜しむというのはちょっと違うような気がしています。
なにしろ、“やってみなければ分らない事” は、経験云々ではなく本当に沢山ありますから。というか、だいたいの事はそうじゃないかと思うくらい。
やってみてダメだった場合、表現の問題というだけで納まらない事も多く、企画から考え直さなければならない事も有るのです。
どこまでがビジネスとして不必要な無駄で、どこまでがクリエイティブとして必要な無駄なのか。多くの人が改めて考えてみる必要があると思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿