4月 21, 2012

機能的な価値。情緒的な価値。


ずっと不思議に思っていた事があります。不思議と言うか、歯がゆいと言うか。。

なぜ日本の企業は「私たちは◯◯です!」と明解に売り文句を言い切らない事が多いんだろう?なぜ出来るだけ分り難く、曖昧にするんだろう?という事です。
”日本の” と書いてるのは外国の企業と比べてという訳じゃなく、自分自身が殆ど日本国内の企業の仕事しかした事がないからです。

もっと、自分たちの得意としている部分、売りにしたい部分を強く言っても良いんじゃないかなぁとか、自分たちの商品やサービスを誰に支持して欲しいのかを明確に表現しても良いんじゃないかなぁと思う事が多いんです。

ある日、私は仕事でお客様の会社の部長クラスの皆さんを取材させていただいているとき、その方たちの一人からこんな言葉を聞きました。

私:新規で仕事を獲ろうとする際、御社の営業の方が好んで使う様な売り文句といいますか決め台詞みたいなものはありますか?
お客様:こちらから先に言うような売り文句や決め台詞はありません。逆に余計な事を言わずに先ずは先方がどんな事を求めているのかを聞くようにしています。その上で、その課題に合った弊社でこそ上手く出来る解決策を提示するようにしているんです。
こちらが、はじめに ”売り” を言ってしまうと、先方は「ああ、ここは◯◯の会社なんだな」と変な先入観を持ってしまう事が多く、それとは関係無いと判断した課題を口にしなくなってしまうので、自ら多くの仕事に繋がる可能性をつぶしてしまうんですよ。

これは本当でしょうか?ある意味ではその通りかもしれません。
ですが、それは ”売り文句” ”決め台詞” を数ある商品やサービスの一つを選んで売り込む事とした場合じゃないでしょうか。

私の言う「私たちは◯◯です!」は、そういう意味での ”売り文句” や ”決め台詞” ではありません。
前出の ”売り” を機能的な ”売り” とするなら、私が言いたいのは、もっと情緒的な ”売り” と言うんでしょうか。。
例えば個人に置き換えると、「私は料理が得意です!」「私は映画にはちょっとうるさいです!」「私は水泳が得意です!」これらは、それぞれいくつかある中の一つのスペックですよね?
その中でどれか一つを選んで売りにしなければならないとしたら、当然あなたの事を相手に伝えるには不十分ということになっちゃいますよね。
そういう話だったら、まず相手が何を求めているのか?を知ってそれに対し自分が出来る事、得意としている事に関連させてアピールしていった方が話はスムーズに進むでしょう。

でも、あなたのファンになってもらおうとするなら、そういうスペック的な面だけではなく、もっと感情に訴えかけるもの、例えば、ものに対する "考え方" や ”姿勢" 、”夢” みたいなものを伝える必要があるんじゃないでしょうか。

それは企業にとっても同じなんじゃないでしょうか。
この様なメッセージによって、企業に対する情緒的な価値を相手の心の中に作ってもらう事で、それまでの機能的、スペック的な価値しか持たれていない状態よりも俄然その企業やサービス・商品の事を好きになり、ファンになってくれるはずだと思うんです。

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